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全体版 働き方・休み方改善ハンドブック | 働き方・休み方改善ポータルサイト

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(1)

多 様 な 人 材 が 企 業 価 値 と 生 産 性 を 高 め る

職 場 づ く り を め ざ し て

働き方・休み方

改善ハンドブック

(2)

目 次

働き方・休み方

改善ハンドブック

製造業(電機・電子・情報通信業編)

はじめに……… 1

電機・電子・情報通信業界を取り巻く環境と課題……… 2

働き方・休み方の改善がなかなか進まないのはなぜか?…… 4

改善のための「4つの体系」と「8つの取組項目」 ………… 4

〔取組ポイントの紹介〕   その1.方針・目標の明確化 ……… 6

  その2.改善推進の体制づくり……… 8

  その3.改善促進の制度化……… 10

  その4.改善促進のルール化……… 13

  その5.意識改善……… 15

  その6.情報提供・相談……… 17

  その7.仕事の進め方改善……… 19

  その8.実態把握・管理……… 21

〔企業事例〕   シャープ株式会社……… 23

  日本アイ・ビー・エム株式会社……… 26

(3)

この「働き方・休み方改善ハンドブック 製造業(電機・電子・情報 通信業編)」は、電機・電子・情報通信業界の企業において、長時間 労働を抑制し、年次有給休暇を積極的に取得することにより、社員一 人ひとりがワーク・ライフ・バランスのとれた、よりよい働き方・休 み方を実現し、生産性の向上や効率的な経営につなげることを目的に 作成されたものです。

電機・電子・情報通信業界の企業の多くは激変するグローバルな競 争環境の中に置かれています。海外企業を含む他社との差別化を図り つつ、新たな商品やサービスを生み出し、企業が成長を続けるために は、社員の能力を最大限に発揮することが不可欠です。とくに新興国 を巻き込んださらなるグローバル化の進展や企業の合併・買収による 業界再編、他業種からの参入等による環境変化が生じてきており、こ のような中で競争力を高めるためには、人的資本の有効活用が強く求 められています。

社員が最大限に能力を発揮できる環境を整えつつ、生産性を向上さ せることなどにより、長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得促進を 図っている企業があります。

このハンドブックでは、自社での取組を考えるに当たってのヒント となる先進的な企業における取組事例をお示ししています。

働き方・休み方の改善は、電機・電子・情報通信業界の企業にとっ て最大の経営資源である「人材」の能力や経験を引き出す、企業にとっ ても大きなメリットとなる取組です。

まずは、企業の経営者や人事労務管理者の皆様が働き方・休み方改 善の重要性を理解し、自らが率先して、働き方・休み方改善の見直し に取り組んでいきましょう。

(4)

ま す ま す グ ロ ー バ ル 化 し 激 変 す る 経 済・社 会 環 境

本業界は他業界と比べてグローバル化の進展が見られることから、海外企業との競争環境の中で自社 のプレゼンス(存在感)を維持するためには、経済・社会環境への変化に的確に対応を図りつつ、製品 の開発・製造・販売における高付加価値化や、関連サービスの開発・提供における差別化などを常に行 い続けることが、ますます重要となってきています。

また、新製品の開発期間のサイクルが短くなっており、変化への迅速な対応も求められるようになっ ています。

重 視 さ れ る 創 造 的 な 働 き 方

市場の変化が緩慢な時代には、企業の経営戦略の変化が少なく、社員は組織の中で与えられた業務を 適切に遂行することが重視されました。

一方、今日のように市場の変化が激しく、かつ変化の方向性が不透明な時代には、より創造的な業務 の重要性が高まります。

また、一般化ないし均一化した製品やサービスでは競争力を維持することは難しいため、新規性のあ る高付加価値の製品やサービスを提供することが強く求められるようになります。定型的な業務の場合 は労働時間や作業量の多さが意味を持ちますが、新たなアイディアを生み出すことは必ずしも労働時間 に依存しません。むしろ、創造的な仕事をするためにはオフの時間も大切であり、適切に休みを取るな ど、意識的に「仕事」から離れる時間を作り出すための仕組みや職場環境を整える必要があります。

多 様 性 推 進 の 観 点 か ら 求 め ら れ る ワ ー ク・ラ イ フ・バ ラ ン ス

一方、企業の活力をさらに高めるためには、女性や海外の高度人材の活用促進を図ることも大切な視 点です。国内の労働力人口は減少を続けており、新規学卒者の採用による労働力の確保もますます難し くなっていくものと予想されます。このような中でも優秀な人材を確保するためには、女性や外国人な ど多様な人材の活躍できる職場環境づくりが重要です。

たとえば、女性の活躍促進を行おうとしても、家庭と仕事の両立を図りにくい職場であれば女性の定 着率を高めたり、女性の管理職を増やすことは難しいでしょう。「イクメン」や「ケアメン」という言 葉がありますが、近年は男性も育児や介護を担うようになっており、家庭との両立は女性だけの問題で はなくなっています。

また、理工系の大学院を卒業する外国人など、海外の人材を活用する上では、事前協議、根回しなど 日本独特のコミュニケーションや、職務の範囲が明確でなく長時間労働が評価される傾向の強い日本的 な職場風土を改善することが大切です。国際的にみて我が国は労働時間が長く、休暇の取得日数も少な い状況にあります。グローバル人材の確保という観点からも、長時間労働を是正し、休暇取得を促進す ることは重要といえます。

(5)

さらに、社員の高年齢化が進行しており、家族の介護と仕事の両立を迫られる社員は管理職を含め、 今後増えてくるでしょう。男性社員を含めた育児期間中の社員や共働きの社員ばかりでなく、家族の介 護をしながら仕事を行うなど、時間的制約を有する社員の増加が予想される中で、企業としてそうした 時間的制約のある社員が継続して働き続けられる環境を整えていくことが求められます。

ワーク・ライフ・バランスを維持しうる働き方・休み方を実現することで、多様な人材の確保が可能 となり、職場の活力が高まることが期待されます。

就 労 継 続 や 昇 進 意 欲 の 減 退 を 生 じ さ せ な い よ う に す る

人 事 労 務 管 理 上 の 工 夫

本業界では技術系職種の社員割合が高いという特徴があります。工場に勤務する技能労務系職種の社 員と比べると技術職や研究職は労働時間が長く、休みにくい傾向が見られますが、その中でも「基礎研 究」よりも「応用研究」、あるいは顧客向けの業務を行っている社員の方が時間の融通が利きづらく、 労働時間の長時間化や年次有給休暇を取得しにくい状況にあります。若いうちであれば無理がきいたと しても、高年齢になると体力が低下し、長時間労働などを続けるのは難しくなります。社員の年齢構成 が高まる中、いつまでも働き続けられる職場を実現するためには、働き方・休み方の改善がきわめて重 要です。

また、管理職による部下のマネジメントの巧拙が、部下の労働時間に影響を与える側面があるため、 部下の就労意欲を維持・向上させるためにも、業務の効率性を高める上司のマネジメント能力が問われ ています。一方、部下のみならず、管理職自身が「プレイングマネジャー」となっているために、労働 時間が長時間化している状況も一部では見られます。管理職がハードワークをしていると、若手社員の 昇進意欲をそぐという問題もあります。一般社員のみならず、管理職においてもメリハリのある働き

アメリカ

0 500 1000 1500 2000 0 5 10 15 20 25 30 35 1795

日本 1746

カナダ 1713

イギリス 1659

フランス 1401

オランダ 1328

ドイツ 1313

(日)

労働者1人平均年間総実労働時間の国際比較 (2013年)

ドイツ 30

イタリア 28

フランス 25

イギリス 24.8

日本 18.5

(日)

有給休暇の付与日数の国際比較 (2013年)

出典:OECD Database(http://stats.oecd.org) “Average annual hours actually worked per worker [Dependent employment]” 2014年9月現在

出典:厚生労働省「就労条件総合調査」及びEIRO     Developments in collectively agreed

working time 2013

(注) 1.日本は年次有給休暇の平均付与日数。

2. 日本以外の国は、労使協定で合意した年次有給休暇 の平均付与日数。

3. フランスは、2010 年の値。 4. イタリアは、2011 年の値。

(6)

自社で働き方・休み方を改善しようと取組を進めていても、なかなか長時間労働がなくならなかった り、休みがとりにくい状況が変わらなかったりするとしたら、どうしたらよいでしょうか。

改善の効果が出にくい原因には3つあります。

1つ目は現状の把握が十分に行えていないケースです。例えば、会社全体の年次有給休暇取得率は高 い水準にあるにもかかわらず、特定の部署に限って取得率が低いとしたら、その部署における仕事の進 め方やマネジメントの仕方に問題があるのかもしれません。また、一般社員は労働時間に大きな問題は なく、管理職とくにプレイングマネジャーとなっている中間管理職層において長時間労働が常態化して いるのだとしたら、この管理職層をターゲットとした取組を行うのが効果的です。まずは、自社の働き

方と休み方の実態を的確に把握することが大切であり、その際、「週労働時間60時間以上の雇用者の割

合」や「年次有給休暇取得率」といった数値を計測することにより、客観的に実態を把握したり、他社 や業界全体と比較したりしやすくなります。

2つ目は、取組内容に偏りがあるケースです。たとえば、休暇取得を促進する制度を導入しているも のの、なかなか利用されないといった場合、運用に何らかの問題があると考えられます。休みを適切に 取ることで生産性が高まる、といった意識づけを行うメッセージを経営層から発信するなど、別の角度

からの取組を組み合わせることによって、実効性が高まります

3つ目は、取組内容そのものに改善が求められるケースです。たとえば、働き方の柔軟性を高めるこ とが重要と考え在宅勤務を可能にする取組を導入したら、逆に長時間働く社員が増えてしまったとしま す。この場合、朝型の勤務制度やフレックスタイム制度の導入など別の取組の方がよいの かもしれません。取組を行ってそのままにするのではなく、1つ目で述べたよ うな数値を継続的に計測したり、社員に対する意識調査を行ったりするこ とにより、取組効果を判断し、必要に応じて内容の見直しを行うこと

が重要です。

働き方・休み方を改善する取組を大きく分類すると、Vision(ビ ジョン)、System(システム)、Action(アクション)、Check (チェック)の4つの体系があります。また、これらはさらに8 つの項目に細分化できます。これらの項目に対応する取組を行っ ているかどうかを確認し、行っていない項目があれば導入・実施を 検討しましょう。

第1段階は「Vision(ビジョン)」に関わるものです。長時間労働の抑制や年次有給 休暇の取得を促進する上で、働き方・休み方の改善に取り組む意思を、「会社や部署 の方針」として社員に対し明確に示すことが大切です。また、その際に目標を設定 することが有効です。この段階に当てはまる仕組みないし取組には「方針・目標の 明確化」があります。

その1.方針・目標の明確化       

「方針・目標の明確化」とは、働き方・休み方の改善に取り組むことを「企業からのメッセージ」と して社員に伝えたり、目標を掲げたりするなど、方針や目標を明確化する取組のことです。 ⇒P6へ

働き方・休み方の改善が

なかなか進まないのは

なぜか?

改善のための

「4つの体系」と

「8つの取組項目」

Vision

(7)

第2段階は「System(システム)」に関わるものです。会社や部署の方針や目標に 沿って実効ある取組を進めるために、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進 を推進するための体制や制度、ルールを整える必要があります。この段階に当ては まる仕組みないし取組には「改善推進の体制づくり」「改善促進の制度化」「改善促 進のルール化」の3つがあります。

その2.改善推進の体制づくり

「改善推進の体制づくり」とは、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進を図るための体制を構

築する取組のことです。  ⇒P8へ

その3.改善促進の制度化

「改善促進の制度化」とは、柔軟な働き方を行ったり、労働時間の適正化を促したり、多様な休み方

を行えたりする制度を導入する取組のことです。 ⇒P10へ

その4.改善促進のルール化

「改善促進のルール化」とは、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進につながる人事管理・評

価の仕組みを導入する取組のことです。 ⇒P13へ

第3段階は「Action(アクション)」に関わるものです。社員の働き方・休み方に関 する行動を変えるには、情報提供や研修などにより、社員自身およびその上司の仕事 に対する考え方や休暇に関する意識の変革を促すとともに、取引先との関係を含め、 仕事の進め方を見直すことが重要です。この段階に当てはまる仕組みないし取組には 「意識改善」「情報提供・相談」「仕事の進め方改善」の3つがあります。

その5.意識改善

「意識改善」とは、長時間労働や年次有給休暇に関する社員や管理職向けの研修を実施したり、ポスター を掲示するなどにより、社員や管理職の意識を高める取組のことです。 ⇒P15へ

その6.情報提供・相談

「情報提供・相談」とは、本人の残業時間や年次有給休暇残日数を通知したり、カウンセリングの機会 を提供するなど、長時間労働や年次有給休暇にかかる情報提供や相談を行う取組のことです。 ⇒P17へ

その7.仕事の進め方改善

「仕事の進め方改善」とは、業務プロセスの見直しや取引先との調整などを通じて、長時間労働の抑

制や年次有給休暇の取得促進につなげる取組のことです。 ⇒P19へ

最後の段階は「Check(チェック)」に関わるものです。個々の社員の労働時間 や年次有給休暇の取得状況を「見える化」し、社員本人やその上司、会社が把握 することで、より一層の改善の取組を進めやすくなります。

この段階に当てはまる仕組みないし取組には「実態把握・管理」があります。

その8.実態把握・管理       

「実態把握・管理」とは、労働時間や年次有給休暇の取得状況を定期的または常時チェックする取組

のことです。 ⇒P21へ

Action

アクション

Check

チェック

System

(8)

その1.方針・目標の明確化

働き方・休み方を改善する各種の取組や仕組みの起点となるのが「方針・目標の明確化」です。企業 のメッセージとして働き方・休み方の改善を促す方針・目標を発信することで、それぞれの取組・仕組 み・制度などが「ばらばらなもの」ではなく、「一貫したもの」として社員に認識されるようになり、 相乗効果を発揮する上で重要です。

また、働き方・休み方の改善を促す方針・目標は、単独で打ち出されるというよりは、企業が求める 社員像や経営方針、企業文化などと関連付けながら展開させる方が社員への浸透度が高まります。また、 運動、宣言、キャラクター活用など、さまざまな仕掛けを組み合わせることで、効果を高めている企業 もあります。

企業が求める社員像/経営方針等

整合性・一貫性が求められる

経営方針と関連付けながら展開 いくつかの活動を組み合わせる 効果を高めるためには…

働き方・休み方の制度/取組等

会社の方針や目標の明確化

取 組 例

○経営方針と関連付けながら展開

トップからの全社的目標の発信

(沖電気)

労使による目標設定は、長時間労働の抑制については「1か月の時間外労働60時間超過者をゼロにす る」、休暇の活用については「1年間の年次有給休暇取得日数6日未満者をゼロにする」を掲げています。 イントラネットでは、この目標を掲載すると共に、トップメッセージとして社長および労働組合委員長 のメッセージを発信しています。さらに、半期ごとの経営方針説明会(社内)において、社長から「ワー ク・ライフ・バランス」の重要性について、経営方針と共に発信しています。

取組ポイントの紹介

(9)

『働き方改革』の推進

(キヤノン)

「働き方改革」は、生産性向上とワーク・ライフ・ バランスの推進を目的として2012年に本格的に開始 した施策です。経営環境が激変する中においても企業 が成長していくためには、生産性の向上とワーク・ラ イフ・バランスの好循環・相乗効果によって、所定労 働時間内で最大の成果を出し、終業後には私生活の充 実を図ることが大切であると考えて推奨しています。 2013年には経営層から以下のメッセージが発信さ れています。

「社員全員が仕事の生産性を再度見直し、所定労働時間内で効率よく終われるよう、働き方を 見直して欲しい。終業後には、家族との団らん、自分をさらに磨くための勉強、あるいは趣味 を楽しむなど、人間らしい生活を過ごしてほしい」

「働き方改革」において、具体的な方針や取組内容は各部門で創意工夫して取り組んでいます。また、 部門を超えて好事例を水平展開する「生産性ハンドブック」の発行(全管理職に配信)や、働き方改革 ホームページの開設、全社横断ワーキンググループの発足等も実施しています。

社長メッセージの発信と事業所キャラバンを通じた現場への徹底

(日立製作所) 長時間労働の更なる縮減に向けて、2008年より全社で数値目標を設定し取組を推進。取組開始にあ たり、全社員向けにワーク・ライフ・バランスの実現に向けた社長メッセージを発信しました。

また、労務担当役員と労政担当部長が直接事業所を訪問し、各事業部門の経営会議等で長時間労働縮 減の取組徹底を依頼し、また事業所幹部との意見交換を行う「事業所キャラバン」を実施しました。

○いくつかの活動を組み合わせる

『カエル運動』の展開

(シャープ)

2013年5月から、会社を変える運動として「カエル運動」をスタートさせました。

○ コミュニケーションをカエル取組としては、役職・世代間の距離を縮めて自由闊達なコミュニケー ションを促す「さん付け運動」

○ 仕事のやり方をカエル取組としては、メタボ(ムダ)仕事を取り除いて効率をあげる「脱!仕事メ タボ運動(詳細はP24)」の他、「会議」や「メールマナー」改革としてそれぞれ10カ条を定めて見 直しを図っています。

はじめは本社主導でスタートしましたが、その後各事業本部や関係会社、部門 などでも、それぞれ自主的に目標を決め、独自の取組を推進しています。

(10)

その2.改善推進の体制づくり

一般社員の働き方・休み方を改善する運動や活動を持続させるために、また、新たに導入する制度や 仕組みを効果的に運用するために、企業内の組織や体制を整備することが重要です。

また、情報共有や計画づくりにとどまらず、有効に取組が行われたかどうかをチェックしたり、改善 を促す役割も期待されます。

体制としては労使で推進体制を構築している場合や本社全体だけでなく事業所ごとに設置する例が見 られます。この他、人事部内に設けるものや、横断的な組織として設けるものなども想定されます。そ の設置目的や企業の状況に合わせた体制を整備することが望まれます。

労使で推進体制を構築 事業所ごとに推進組織を設置

会社内の組織や体制を整備 運動や活動を

持続させる

取組の有効性や 効果をチェックする 新たに導入する

制度や仕組みを 効果的に運用する

(11)

取 組 例

○労使で推進体制を構築

年次有給休暇取得を労使共同で推進

(NEC)

年次有給休暇については、取得日数5日未満の低取得者をゼロにすることを主眼に労使共同で取り組 んでいます。具体的には、低取得者本人には労働組合から、低取得者の上司には会社から、休暇取得計 画の要請を行っています。上司、部下双方に働きかけることで、職場が休暇取得計画についてコミュニ ケーションを取りやすくなる風土を作りあげることができました。

また、事業部門ごとに、毎月、労使委員会を開催し、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進に 関しての協議、情報交換を継続的に実施しています。

労使検討委員会を立ち上げて取組

(富士電機)

労使検討委員会において、長時間労働の縮減に関して、特に月80時間以上の時間外労働極小化に向け た取組を推進することとしました。

また、2014年春季交渉においては、長時間労働の縮減と共に、年次有給休暇の取得促進等によりワー ク・ライフ・バランスの実現を図るべく、「労使の協議の場」を定期的に設け、取組状況のフォローを 行うこととしました。

多様な人材が働きやすく、能力を最大限発揮できる職場環境づくりを目指し、「働く時は働き、休む 時はしっかり休む」というメリハリのある働き方を目指す「働き方改革」と「仕事と仕事以外の生活の 両立支援」を重点課題に掲げ、労使で状況を共有しながら制度や社内風土の改善に取り組んでいます。

○事業所ごとに推進組織を設置

労働時間委員会の設置

(三菱電機)

労働時間の状況を労使で話し合う「労働時間委員会」を事業所ごとに年2回行うようにしており、そ の話し合いをもとに、各事業の実情に応じた施策(一斉定時退社、深夜就業パトロール、休日労働管理 の徹底など)が行われています。

時短委員会の開催

(沖電気)

各地区において、労使で労働時間や休暇の取得状況等について協議する「時短委員会」(名称は地区 によって異なる)を月に1度設けています。

(12)

その3.改善促進の制度化

企業全体あるいは特定の部署において、長時間労働が続くような状況、なかなか休みの取りにくい状 況が生じている場合はこれを改善する必要があります。改善の効果を高め、かつ、維持する上では会社 として制度を導入し、実施可能とすることが効果的です。労働時間を短くする、働く場所や働く時間を 柔軟にする、取得しやすい日に年次有給休暇日を設定する、まとまった休みを取りやすくするなどによ り、メリハリのある仕事の仕方を促し、心身の健康を保ち、社員の能力を発揮し生産性の高い仕事を行 えるようにすることが望まれます。

具体的な取組の内容としては、長時間労働の後にはしっかりと休養をとれるようにする、朝は早めに 出勤し、夕方に帰宅する「朝型」の働き方を促す、テレワークの導入により終日在宅勤務の機会を設け る、休みを時間単位で取得できるようにする、長時間労働となりがちな管理職を対象とした休暇制度を 導入するなど、実に多様です。

それぞれの企業の業務の内容や顧客の特性などに合った制度を導入し、運用することが大切です。

勤務間インターバル規制の導入 早帰りを促す(「朝型」の働き方など)

テレワークの推進 多様な休暇制度を導入(時間単位年休など)

新たな制度や仕組みを導入

長時間労働が続く なかなか休みが取りにくい

取 組 例

○勤務間インターバル規制の導入

社員の健康確保を目的とした勤務間インターバル制度

(NEC)

社員の健康確保を目的として、勤務間インターバル制度を導入しています。深夜勤務者の救済措置で あり、積極的に利用されるべき制度ではありませんが、一定の休息時間を確保すべく、翌日の始業時間 を繰り下げることができる制度です。

23:30~24:29に退社した場合は9:30に、24:30以降に退社した場合は10:30に始業時間を変更 することができます。

(13)

○早帰りを促す(「朝型」の働き方など)

ワーク・ライフ・バランス推進期間の継続的な実施

(キヤノン)

東日本大震災時の電力供給量低下に伴い実施した就業時間帯の前倒しを、現在も継続して行っていま す。「働き方改革」の一環として、7月~9月をワーク・ライフ・バランス推進期間として、始業時刻 を30分早め(本社8時)、昼休憩を15分短縮(休憩時間45分)することで、終業時刻を45分早くして います(本社16時15分)。

終業後の時間には、会社として語学や資格取得、健康などのセミナー・イベントを開催するなど、社 員に有効に活用してもらえるようにサポートしています。

もちろん、時短勤務制度の適用者等の勤務時間帯を変更することが難しい社員については個別に勤務 時間を調整しています。

定時退社日の徹底

(東芝)

事業場毎に毎週1日を「定時退社日」に設定し、時間外勤務を行わずに定時で退社するよう、館内放 送等で呼びかけを行っています。

特に定時退社日の中でも毎月1日以上を「特別強化日」として、時間外勤務をせざるを得ない場合は 上長から事前に個別申請させ、当日終業時刻に労使がチームを組んで各職場を巡回し、未申請で勤務を 継続している社員がいないか確認しています。

○テレワークの推進

在宅勤務制度(e-Work@Home)の導入

(パナソニック)

会社の設ける要件に合致する約4万人の社員を対象としてe-Work@Homeという在宅勤務制度を導 入しています。e-Work@Homeを用いて勤務する社員に対してPC貸与による在宅勤務を認める仕組み です。労働時間管理は通常通り実施しますが、各部門で工夫して対応を行うことを前提とした運用とし ています。

多様な働き方を目指した在宅勤務・モバイルワーク制度の利用推進

(富士通) 現在、在宅勤務は、育児及び介護を理由として週2回の利用が可能で、約100人の社員が利用し、育 児・介護を行いながら企業に貢献していただいており、ライフイベントと仕事の両立に大きく役立って います。

今後は、育児や介護を理由とした在宅勤務に限らず、多様な働き方をさらに拡充したモバイルワーク のトライアルを予定しています。

○多様な休暇制度を導入(時間単位年休など)

“時間単位”の目的別休暇制度の導入

(沖電気)

年次有給休暇とは別に、傷病治療や、家族介護・看護、ボランティア活動、子の学校行事などに利用 できる “目的別休暇”を毎年5日付与しています。年次有給休暇の失効分も年5日を限度に目的別休暇 に積み立てられます(最大で50日間積立可能)。

(14)

セルフサポート休暇制度の制定

(三菱電機)

取得できなかった場合の年次有給休暇は「セルフサポート休暇」として、30日間を上限として積み立 てることができます。病気や怪我の療養や人間ドック受診、ボランティア・家族行事など、様々な目的 において使用が可能です。

管理職を対象とした長期リフレッシュ休暇制度

(オムロン)

「長期リフレッシュ休暇」は、1988年に特別休暇として導入した、最前線の最も多忙な管理職に普段 できない方法で心と身体をリフレッシュしてもらう制度です。管理職昇格後6年目に1か月から最大3 カ月もの休暇を取得でき、原則として満53歳まで延期が可能です。

制度導入から20年以上が経過し、これまでに1,180人(対象者の約8割)が取得しています。本制度 を利用することで、見知らぬ国に行って生活してみる、地域のボランティア活動に参加してみるといっ た様々なテーマ、新しい体験をして、自分なりの新たな価値観を持つ社員が多く見受けられます。

また、その間部下も仕事を任され、成長する機会となっています。なお、制度の導入時には、取得促進 のために、休暇取得者の休暇の過ごし方の体験記等の情報提供、融資制度の活用促進等を実施しました。

生涯設計プログラムに基づく長期休暇のバリエーションの充実

(オムロン)

社会の信頼に応える企業づくりには、担い手となる社員の存在が欠かせないと考え、社員一人ひとり が生きがい、働きがいを持てるように、さまざまな支援制度で成長をサポートしています。その一環と して、ヒューマンルネッサンス構想に「生涯設計プログラム」を設けており、人生の節目で立ち止まっ て自分や社会を見つめ直すことで、新たな「気づき」があり、自律へのきっかけづくりとなることを期 待しています。

長期休暇として満35歳以上を対象とした「マイチャージプラン(最長2週間)」、満45歳以上を対象 とした「マイビジョンプラン(最長4週間)」、満53歳を対象とした「マイライフプラン(最長2週間)」 を設定しており、生涯設計プログラムに位置付けています。対象者には特別休暇としてマイプラン休暇 (マイチャージ使用時:5日、マイビジョン使用時:10日、マイライフ使用時:5日)を付与するとともに、

各人の年次有給休暇および積立年次有給休暇(失効する年次有給休暇を積み立てる制度)を充当するこ とにより長期休暇の取得が可能となっています。

プログラム 対象者 ねらい 休暇期間

マイチャージ 35歳 自己実現に向けた人生設計を考える 2週間

長期リフレッシュ 管理職6年目 心・技・体のリフレッシュと新しい視野づくり 1-3か月

マイビジョン 45歳 自己の強みを踏まえた人生設計を考える 4週間

マイライフ 53歳(役員除く) キャリアの棚卸しと人生設計のリニューアル 2週間

フリーエントリー休暇制度を活用した計画的な有休取得の促進

(東芝)

社員が年次有給休暇を計画的に取得するための施策として、「フリーエントリー休暇制度」を実施し ています。

この制度は、当年度の年次有給休暇が付与される際に、そのうち5日間を、予め「フリーエントリー 休暇」として取得予定日を登録しておくものです。

(15)

その4.改善促進のルール化

「社員の働き方・休み方の実態」とその企業の「人事管理のあり方」は深く関係しています。そのため、 人事管理に関する手続きの方法や運用のルール、人事評価の手法などを見直すことで、社員の働き方・ 休み方を変えられる場合があります。

たとえば、部下が長時間労働を行っている場合、実効性のある改善がなされるよう上司に具体的な改 善策を提案させている企業や、残業する当事者ではなく、その上司が残業申請を行う仕組みを取り入れ ている企業、あるいは、労働時間の長さで昇進・昇格の評価がなされることのないよう職務等級制度を 導入している企業もあります。

ポイント

上司に働きかける 評価の仕組みを工夫する

改善を促進する「ルール」をつくる

手続きの方法や運用のルールや人事評価手法を見直す

社員の働き方・休み方が変わる

取 組 例

○上司に働きかける

残業する部下について上司が申請

(沖電気)

(16)

【申請イメージ】

『本人と上司をセットで管理する』という点を重視

(NEC) 基本方針として「時間外労働ゼロ」を

目標として掲げ、全社的に各種の取組を 実施しています。時間外労働が多い傾向 の社員に対しては月の途中でアラート発 信を行い、当事者に意識づけを図ってい ます。同時に、当事者の上司に、部下が 高負荷状態になりつつあるアラート発信 を行い、部下への業務アサインの見直 し、業務量の調整を促しています。

○評価の仕組みを工夫する

社員それぞれの職務・責任が明確な人事制度

(日本IBM)

既卒はもちろん、新卒採用についても職種別での採用を行っており、入社1年目のトレーニング終了 後すぐに職務等級制度による人事管理を行います。

また、そのスキームを支えるのは、納得性の高い評価制度と目標管理制度です。職種(職務)は自身 のキャリア意識等により入社後に変更も可能です。また、部門を超えた異動は、本人が直接希望する部 門・職種のマネージャーと交渉して異動を実現することもできます。仕事の成果は、プロジェクトや実 務に対する貢献度で測られ、たとえば労働時間の長さ、残業を多くしているから等の理由のみによる 偏った評価は行われません。

②申請者が、申請に該当する部下の情報を選択、入力する。

③申請者(時間外勤務をする者の上司) が申請を行い、総務部門(人事部)、労働 組合が承認する。

(17)

その5.意識改善

長時間労働や休みが取れない状況が常態化している場合、長時間労働を「当たり前の状態」と思って しまう職場風土が形成されている恐れがあります。このようなときは管理職をはじめ社員一人ひとりの 意識を変えることが重要です。

そのための最も代表的な取組は「研修の実施」です。単なる情報提供型の研修ではなく、演習形式や 双方型の研修など、その方法を工夫することで効果を高めることが望まれます。また、eラーニングを 実施している企業やハンドブックなどの冊子を全社員に配布している企業もあります。

ポイント

研修や講演会の 実施

e ラーニングの 実施

ハンドブックの 活用

社員一人ひとりの意識を変革 長時間労働や休みが取れない状況が常態化

長時間労働を「当たり前の状態」と思ってしまう職場風土が形成

取 組 例

○研修や講演会の実施

マネジメント研修における労働時間管理の徹底

(富士通)

管理職に対するマネジメント研修を定期的に行い、労働時間管理の徹底を図っています。特に時間外 労働については、サービス残業をしない・させないことを最優先とし、その上で長時間労働を縮減する ための教育を徹底しています。

(18)

○eラーニングの実施

労働時間制度等の周知

(オムロン)

労働時間制度等についてハンドブックやイントラネット上で情報提供を行って いますが、きっかけがないと社員が確認する機会は少ないため、全社員(管理職 向けと非管理職向け)に対して年に1回、働き方・休み方に関する制度について 確認する機会を設けています(10問程度のe-learning)。また、休暇制度につい ても、毎年3月に掲示板に通達を出して年次有給休暇の取得日数を確認するよう なきっかけをつくっています。

効率的な働き方についてe-learningを実施

(東芝) 社員一人ひとりが仕事に取り組む意識と仕事のやり方を変え、 生産性を高め、効率的な働き方を実現するために、2014年度か ら社員全員を対象にe-learningを実施しています。生産性を向 上することの必要性を理解した上で、仕事の仕方や意識・コミュ ニケーションのあり方を学ぶとともに、メールやユニファイド・ コミュニケーション(様々な通信手段を組み合わせたコミュニ ケーション)等のITツールの活用方法についても解説を行ってい ます。

○ハンドブックの活用

ワーク・スタイルに関するハンドブックの作成・提供

(東芝) 当社では、会社での業務において集中度を高め、「効率的でメリハリのあ る仕事」をすることにより、「リフレッシュ」する時間を確保することで「幅 広い教養と経験」を積み重ね、「付加価値の高い仕事」に結びつけ、これを さらなる「効率的でメリハリのある仕事」につなげるという正の循環を実践 することを「ワーク・スタイル・イノベーション」と呼んでいます。

チームとして効率的でメリハリある仕事を実現するための管理者・社員一 人ひとりのマネジメントのノウハウ、チーム・マネジメントの基礎知識とし て勤務制度の知識を広く周知し、社内の各部門における取組事例についても 共有するため、社内HPで紹介するとともに、ハンドブックを作成し、社員 全員に配布しています。

取組のフォローアップと事例展開

(日立製作所)

長時間労働の縮減に向けた施策の定着化に向けて、時間外労働の状況や有給休暇取得状況を、本社経 営会議や各事業部門の総務部長が出席する会議等において定期的に報告を行い、数値目標の達成状況の フォローアップを実施。また、各事業部門の長時間労働の縮減に向けた取組を本社でまとめ、好事例に ついては全事業部門に展開しています。

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(19)

その6.情報提供・相談

社員は、自分がどのような働き方・休み方をしているのか、他の社員と比べて問題のある働き方をし ているのかなどを適切に把握できていない場合が多く、改善を図らねばならない状況にあったとしても 自覚するのは難しいものです。また、仮に改善を図りたいと思っても、気軽に相談できる仕組みや体制、 窓口などがなければ行動に結びつけることは容易ではありません。働き方・休み方に関する社内の制度 についても、企業側は十分に周知していると思っていても、社員から見たとき必ずしも伝わっていない という場合もあります。そこで、情報提供や相談の仕組みを設け、取り組むことが重要です。

情報提供については、社員が個別に利用しているPCを通して情報提供を行っているケースが多く見ら れますが、対象者に個別に伝えているケースもあります。また、改善が求められる社員に対して面談の 機会を提供している企業もあります。

ポイント

社員のPCを通して情報提供 対象者に個別に伝える

情報提供や相談を充実 社員は自分の働き方を

自覚していない

会社の制度が 周知されていない 気軽に相談できる

仕組みや体制、窓口など がないと行動には

結びつきにくい

取 組 例

○社員のPCを通して情報提供

(20)

○対象者に個別に伝える

勤務実績状況のメール配信

(東芝)

「所定労働時間を超える勤務時間」の「当月実績値」が40時間、または60時間を超過した場合、社員 本人とその上司に翌朝「お知らせ」メールを自動送信しています。

また毎月10日に、前月と前々月の「所定労働時間を超える勤務時間」を集計した「月間勤務実績レポー ト」を上司にメールで自動送信しています。

上記の「PC ON/OFF時刻把握ツール」とあわせ、勤務状況について上司と社員が都度意識を向け、 より効率的な働き方を促すとともに、健康管理の観点から長時間労働への注意喚起を行い、改善を図っ ています。

  

時間外労働のアラートメールの送信

(富士通)

労働組合と時間外協議会を毎月開催し、時間外労働の実態を把握するとともに、長時間労働の抑制に 取り組んでいます。また、月度末の結果のみで管理するのではなく、月の途中で「労働時間が長くなる おそれあり」とシステム上判断された場合、アラームが本人およびその所属長に自動的に送信される仕 組みを導入しています。また、当月100時間を超える、または月平均80時間を超える状態が続いている などの社員について産業医による面談を行うほか、前月の時間外労働が40時間を超えた社員は全員に問 診票提出を義務づけるといった健康管理施策を設けており、その通知についても、本人とその所属長の 両方に送信しています。

(21)

その7.仕事の進め方改善

そもそも業務量が多く社員が少ない場合、一人ひとりの業務の負荷は大きく、休みも取りづらい状況 が生じます。社員の人数を増やすか、業務の総量を減らせば問題は解決しますが、このような手を講じ られない場合もあります。そこで、業務の無駄を減らしたり、社員間の業務量の偏りを是正する取組が 重要となります。

受注段階や遂行段階の管理を徹底したり、業務の棚卸を行う、社員の知識や能力を効率的に活用する ために社員情報検索システムを導入する、繁忙期と閑散期の差が激しい企業や部署の場合に閑散期の休 暇取得に力を入れるなどの取組が見られます。

ポイント

受注段階や遂行段階の 管理を徹底

業務の棚卸や

社員スキルを見える化 閑散期に休暇取得

仕事の進め方を改善

社員の人数を増やすか、業務の総量を減らすことができない場合

(22)

取 組 例

○受注段階や遂行段階の管理を徹底

長時間労働の抑制を目的とした受注段階・遂行段階での管理の徹底

(NEC)

プロジェクト事前審査を厳格化、契約内容の精査により、無理な計画で受注しないよう徹底していま す。また、予期せぬトラブルにより高負荷になった場合でも、上司だけでなくスタッフ部門による時間 管理等で健康確保措置を実施しています。

○業務の棚卸や社員スキルを見える化

業務効率化を推進

(富士電機)

中期経営計画の達成に向けて、Pro-7活動(一層の収益力強化に向け、事業活動に伴うあらゆるコス トをゼロベースで見直す全員参加の活動)を通じて経営方針にある「チームによる総合力を発揮」によ り収益体質をより強固なものにすべく、働き方改革、業務品質向上に向けた業務効率化を推進していま す。具体的には業務の棚卸や業務プロセスの見える化などにより業務品質向上に向けた職場単位の活動 を行っています。

生産効率向上に資する社内情報検索システム

(日本IBM)

専門性の高い情報については、社内検索システムから専門知識・スキル、ベストプラクティスなどを 保有する社員をグローバル規模で検索できます。情報をうまく活用できる社員・コミュニケーション能 力の高い社員は効率的に生産性高く働くことが可能です。

○閑散期に休暇取得

業務の繁閑による働き方・休み方のメリハリ

(富士通)

(23)

その8.実態把握・管理

働き方・休み方を改善するには、まず現状を客観的に把握する必要があります。また、何らかの取組 を始めたり、新制度を導入した場合には、一定期間の後、その効果を把握することが大切です。

社員が自分の働き方・休み方をどのように感じているのかを知ることは、課題を把握したり、新たな 取組を行う場合の基礎的な情報になります。そこで、実態を的確に把握し企業として管理を行うことが 重要です。

定期的に社員意識調査を実施し、その結果を現場にフィードバックしている企業や労使で情報を共有 化しているケースなどが見られます。

ポイント

意識調査の結果を現場に フィードバック

労働組合と人事部が 情報を共有

実態把握および管理

(24)

取 組 例

○意識調査の結果を現場にフィードバック

社員意識調査を各部門の改善施策の立案・実行に活用

(東芝)

社員全員を対象に、無記名方式による「社員意識調査」を毎年実施しています。社員の職場・仕事・ 上司・会社に関する生の声、および会社施策に関する理解度を把握し、働き方や労働時間・休暇制度等 を含めた会社諸施策への反映を行っています。

また調査結果は人事部門が管理するのではなく、それぞれの部門ごとに集計しフィードバックされま す。各部門では、部門における課題を抽出し、部員全員で話し合い、改善施策を立案・実行しています。

この調査はこれまで国内のみで実施してきましたが、2015年度からはグローバルに展開していく予 定です。

○労働組合と人事部が情報を共有

(25)

企 業 事 例

シャープ株式会社

社内文化の刷新・再構築に向けた取組の一環として

働き方・休み方改善を自律的に推進

1912(大正元)年、創業者が金属加工業を創業したことに始まる総合電機メーカーです。現在はプロ ダクトビジネス(デジタル情報家電、通信、健康・環境、エネルギーソリューション、ビジネスソリュー ション)、デバイスビジネス(液晶、電子デバイス)の製造・販売等を中心に、全世界に約5万人の社員 (連結:2014年12月末)が働いています。

労働時間制度は「通常勤務」「時差勤務」「フレックスタイム制(E-TIME)」「変形労働時間制(1ヶ月 単位・1年単位)」などが適用されます。通常勤務の就業時間帯は8:30~17:15です。E-TIMEのコ アタイムは8:30~に設定しており、フレキシブルタイムはそれに先立つ5:00からの出勤を認めてい ることから、各自の状況が許せば事実上の朝型勤務も可能な仕組みとなっています。

事 業 概 要 と 労 働 時 間 制 度 に つ い て

【経営上・労務管理上の特徴と取組の経緯】

会社の経営理念の中にある「会社に働く人々の能力開発と生活福祉の向上に努め、会社の発展と一人 一人の幸せとの一致をはかる」との一節を人事の基本理念として各種人事政策を進めています。会社経 営の原動力は「ヒト」であると捉え、2013年度から、「カエル運動」「はたらき方改革(労使委員会)」 「経営幹部と管理職のマネジメント改革」「社内コミュニケーション改革」など、様々な風土改革に取り

組んでいます。

また、「健康経営」の概念を導入し、「けんこうシャープ23」の呼称のもと、2022年度末までの達成 目標の中に「長時間労働者ゼロ」を掲げ、マイルストーンを置いて取組を進めています。

厳しい経営環境を乗り越えるためには、全ての社員が謙虚な気持ちで原点に立ち戻り、会社の仕組み や社員の意識・行動を変える「企業風土改革」が必要と考え、2013年度から、社長の「けったいな文 化を変える」との掛け声のもと、改革がスタートしました。

【主な取組】

「カエル運動」

2013年5月から、会社を変える運動として「カエル運動」をスタートさせました。

(26)

直しを図っています。

はじめは本社主導でスタートしましたが、その後各事業本部や関係会社、部門などでも、それぞれ自 主的に目標を決め、独自の取組を推進しています。

また、運動の機運を高めるため、社内Webサイトに掲示板(かわらねばん)を常設し、社長直筆の 応援メッセージや各現場での取組の好事例などを順次紹介しています。あわせて、この運動のシンボル として、ゆるキャラ風の「カエるん♪」も誕生させ、押しつけ感のない運動となるよう工夫しています。

「はたらき方改革労使委員会」

2014年4月からは誰もが活躍できる職場の実現を狙いとした「はたらき方改革労使委員

会」を発足し、長時間労働を前提とした会社風土を是正する「ワークスタイル変革」、コミュニケーショ ン豊かないきいきとした職場づくりを実現する「職場環境変革」、及び「ダイバーシティ推進」の3つ の分科会に分けて労使協働で取組を推進しています。

それらの取組の一環として、経営幹部による働き方改革についてのメッセージ発信や、全管理職を対 象とした「労働時間に関する意識調査」の実施及び分析結果の全社員への紹介等の取組を行いました。 また、当該分析結果の事業所ごとの特徴や詳細等の内容を各総務部門にフィードバックし、各事業所で 開催される労使協議会等で具体的な対策事項を継続協議しています。

〈脱!仕事メタボ運動〉の具体的実施内容

・会議メタボ→資料メタボ→メールメタボ→出張メタボ→文書保管メタボの順に3ヶ月ごとに メインテーマを設定して取組を推進

・一人ひとりが仕事のダイエット宣言を行い、メールの署名欄に自身の改善テーマを簡潔に記載 ・メタボを自覚するため、日常で起こりえる出来事を「自社流・サラリーマン川柳」にして、

振り返りを促す(『倍速で やった結果が ペンディング』『上役の 気持ちを斟酌 しすぎ たわ』など、46句を全社員に紹介)

・自部門の課題の範疇を超える事項については「メタボックス(半期毎に募集)」への投書によ り、人事部門が事務局として関連部門に連絡し改善を促すなど対応を行っています。メタボッ クスへの投書は記名、無記名ともに可能とし、面と向かっては言いにくいことなど、状況に 応じた選択ができ、様々な課題を拾い上げるようにしています。

職場の声 労使委員会によるはたらき方改革

報告および要請

職場変革

(はたらき方改革)

労使合同

イントラ等に よる情報発信

労組ライン

各支部

会社ライン

各幹部・総務

はたらき方改革

労使委員会 中央労使協議会

(職場へのフィードバックでPDCAサイクルを回す)

3分科会の施策 は必要に応じ 連携して推進

・ワークスタイル変革分科会 ・職場環境変革分科会 ・ダイバーシティ推進分科会

(27)

「行動変革宣言」の制定・浸透

このような意識・行動変革のための取組は一時的な運動だけで終わらせるべきではなく、

地道に継続していくことが大切です。全員がベクトルの合った行動へと変革していくことを根付かせる ため、その指針とするべき行動を定めた「行動変革宣言」を2014年1月に制定しました。

「行動変革宣言」を記載したカードを全役員・社員に配付するとともに、当該カードに行動変革に関 する自らの宣言を手書きして携帯しています。各自の宣言内容は朝夕礼や職場懇談会などで紹介・情報 共有することにより実践を促しています。また、経営幹部は自身の宣言をイントラネットで公開し、全 社にメッセージを発信しています。

「休暇制度」

本人や家族の記念日、人間ドック受診、ボランティア活動、自己啓発など、一定の事由に 該当する場合に取得できる「多目的休暇」を年間8日間付与しています。

また、育児休業制度について、連続3日以上取得した場合10日間を限度に有給扱いとするとともに、 配偶者が出産した男性社員とその上長に対して取得案内のメールを自動配信するなど、男性社員も育児 休職が取得しやすい環境づくりに努めています。

なお、年次有給休暇の取得率は2013年度実績で73.4%となっています。

【取組の効果と今後の展開】

様々な改革の取組を進めたことで、風土改革に関する認知度は高まっています。こうした取組に対し ては好意的な反応を得ており、「社内の風通しが良くなったとの実感がある」、「働き方に関しても“言 いにくかったこと”“おかしいと感じたこと”を言えるようになった」という声もあります。

しかし改革はまだまだ道半ばです。今後も「カエル運動」を継続推進するとともに、「はたらき方改 革労使委員会」で進めている各労使協議会での協議結果に基づく具体的施策の展開を図り、より一層現 場を巻き込んだ、自立的な活動へと繋げていきます。

方針・目標の 明確化

(28)

「職務等級制度と納得性の高い人事評価制度及び

場所・時間を選ばない働き方に資する施策と

モバイルツールの活用」による働き方・休み方

【経営上・労務管理上の特徴と取組の経緯】

IT業界は常に変化しており、競争相手となる企業もハードウェア・ソフトウェア会社からクラウド サービス会社まで多岐にわたります。そして、それに伴い必要となる専門性も刻々と変化するため、必 要となる人材も常に変化します。

また、社員の働くことについての意識も変化していますので、ワーク・ライフ・インテグレーション を意識した労務管理を行っています。

【特徴的な働き方・休み方】

「時間と場所を選ばない働き方の推進」

柔軟な働き方の推進を阻害する2つの壁、「時間の制約」と「場所の制約」の問題を取り

除く施策を充実させています。例えば時間の制約は、多様な労働時間制度、場所の制約については、e-ワーク制度(部分的在宅勤務制度)/ホームオフィス制度(全日的在宅勤務制度)やサテライトオフィ スを利用することが可能です。

「情報通信機器の有効な利用によるモバイルワーク」

情報通信技術が発達した現在、各種のコミュニティー支援ツール、Email、ライブチャッ

ト、電話などを使って、社員間のコミュニケーション・情報交換は可能であり、場所を選びません。例 えば、子供の送り迎え、介護その他の理由によって早く帰宅する必要がある場合でも、用事が済めば、 モバイルPC等のツールを利用して職務を行うことが可能です。セキュリティも十分に確保されていま すので、オフラインによる文書の作成等のみならず、サーバーへのアクセスやライブチャット等によっ て他の社員とのオンラインでの職務遂行が可能な環境を提供しています。

企業や公的機関などのお客様向けに「ハードウェア(システム&テクノロジー)」「ソフトウェア」「サー ビス」の3つを中心にビジネスを行っており、約43万人の社員が世界170カ国以上のお客様に製品や サービスを提供しています。また、10カ国12カ所の基礎研究所では、研究者が最先端の技術研究・開発 に貢献しています。

所定労働時間は、9時~17時36分(休憩60分)です。上司が常に部下を管理しているような働き方 は少なく、裁量労働制(SE・コンサルタント・研究開発)、事業場外みなし労働時間制度(営業)、フレッ クスタイム制(管理部門)と、多様な労働時間制度を適用しています。

事 業 概 要 と 労 働 時 間 制 度 に つ い て

日本アイ・ビー・エム株式会社

改善促進の 制度化

(29)

「社員それぞれの職務・責任が明確な人事制度」

既卒はもちろん、新卒採用についても職種別での採用を行っており、入社1年目のトレー ニング終了後すぐに職務等級制度による人事管理を行います。

また、そのスキームを支えるのは、納得性の高い評価制度と目標管理制度です。職種(職務)は自身 のキャリア意識等により入社後に変更も可能です。また、部門を超えた異動は、本人が直接希望する部 門・職種のマネージャーと交渉して異動を実現することもできます。仕事の成果は、プロジェクトや実 務に対する貢献度で測られ、たとえば労働時間の長さ、残業を多くしているから等の理由のみによる 偏った評価は行われません。

「仕事と生活の高次元セルフコントロール」

所定外労働が月45時間を超えた場合は産業医面談の案内を出すため、労働時間の一つの

目安でもあります。プロジェクト全体の労働時間の管理は、プロジェクトマネージャーの専門性(スキ ル)・仕事計画の質等が重要であり、マネージャーは部下に対し、部下自身で仕事をコントロールして 計画的に休暇を取るように薦めます。

また、単に休暇の取得を推奨するのではなく、あくまで部下本人が自身で仕事をコントロールできる ような管理を行っています(年次有給休暇の付与日数は最高29日で、現在、平均取得日数は15日程度 です)。データの観点から部下の長時間労働が続いているような場合には、人事からマネージャーに警 告が発せられ、その後マネージャーが長時間労働者本人と共に改善策を提案し、実施可能性などを検討 します。

「生産効率向上に資する社内情報検索システム」

専門性の高い情報については、社内検索システムから専門知識・スキル、ベストプラク

ティスなどを保有する社員をグローバル規模で検索できます。情報をうまく活用できる社員・コミュニ ケーション能力の高い社員は効率的に生産性高く働くことが可能です。

「『帰りにくさ、休みにくさ』の無い組織文化」

プロジェクトに対する各人の責任が全うされていることが重要であり、「上司が残ってい

るから、他の社員が残っているから」等の理由によって、夜遅くまで退社できない等の組織風土・文化 は全くありません。また、部下の仕事量の調整はマネージャーの重要な職務です。

仕事量についてはもちろんですが、その他自身のキャリアや研修参加の希望などについても部下は上 司に対して自らの意見を述べ、上司は部下の意見に耳を傾ける文化があります。

【取組の効果と今後の展開】

年次有給休暇の取得率は現在、58%となっています。また、組織全体で、ワーク・ライフ・インテグ レーションが実現できています。

改善促進の ルール化

仕事の 進め方改善

仕事の 進め方改善

(30)

トップ主導のもと『働き方改革』

(「生産性向上」と

「ワーク・ライフ・バランス」の好循環・相互効果)を実施

キヤノン株式会社

【経営上・労務管理上の特徴と取組の経緯】

当社では、創業時より行動指針の一つとして「健康第一主義」を掲げ、健康と明朗をモットーとし、 人格の涵養につとめることとしています。初代社長御手洗毅氏のメッセージに「一週40時間の理想は 貫くべきで、毎週、土曜、日曜はゆっくり休んで十分に鋭気を養って、明日の健康につなげよう」とあ るように、古くから「効率を上げて働き、休む時には休む」という文化があります。1959年のGHQ (Go Home Quickly)運動(勤務時間中は効率的に働き、仕事を終えたらすぐに帰宅することを推奨)、

1967年の完全週休2日制導入をはじめとして早い時期から労働時間の短縮や休日・休暇制度の充実に 取り組んでいます。また、1996年には、年間所定労働時間を1,800時間としています。

一方で、事業の急拡大や製品数の増加、仕事の高度化・複雑化、残業や休日出勤に依存した体質、時 間制約がない男性社員中心の働き方等の課題は存在しました。これに対して、制度の充実とともに、職 場や各社員に対して「働き方の見直しによって効率的に働き、期待される成果を出しながら、時間外労 働を減らしていく」意識づけを行うことが大切であると考え、2008年に厚生労働省主催の「仕事と生 活の調和推進プロジェクト」に参画しました。「時間内に効率的に働くワークスタイルの確立」を目指 し、ポスターの掲示、ノー残業デーの放送、消灯等の様々な取組を行いました。

【主な取組】

「『働き方改革』の推進」

「働き方改革」は、生産性向上とワーク・ライフ・バランスの推進を目的として2012年に 本格的に開始した施策です。

経営環境が激変する中におい ても企業が成長していくた めには、生産性の向上とワー ク・ライフ・バランスの好循 環・相乗効果によって、所定 労働時間内で最大の成果を出 し、終業後には私生活の充実 を図ることが大切であると考 えて推奨しています。

1937年創立の精機光学研究所を前身とする電気機器メーカーです。現在は、「イメージングシステム (カメラなど)」、「オフィス(複合機、プリンターなど)」、「産業機器その他」の3分野で事業を展開して います。社員数は単体で26,114人、連結で194,151人(国内で69,825人、海外では124,326人)です。 (平成25年12月31日)所定労働時間は、本社では8時30分~17時、工場では8時~16時30分です(い

ずれも休憩1時間)。

事業概要と労働時間制度について

働き方改革ポスター 生産性向上ハンドブック

参照

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に至ったことである︒

○国は、平成28年度から政府全体で進めている働き方改革の動きと相まって、教員の

内容」